さて、暇なので僕の最近の出来事でも回想しようと思う。
僕の名前やらなんやらは別に関係ないのでさておき。
僕は森で薬草やら食べ物やらをとっては、町に売りに行ってお金を稼いでいる定職につけないような中の下の一般人だ。
しかし中の下とはいえ、町からは遠く離れた山中で家族5人+最近増えた1人で飢え死ぬことなく生活出来ているので、まずまずの暮らしぶりではないだろうか。…と自分では思っている。
そんな一般人な僕には、最近ある変わった出来事が起きた。
今回想に出てきた『増えた1人』の話だ。
僕が年の近い弟と2人、森の中、薬草と食料(野草)を集めている時に彼と出くわしたのだ。
原型を留めていないような服に、意味を成していない言葉、こちらを警戒する恐怖混じりの視線…僕と弟は思ったのだ。
―――ああ、襲われちゃったのだと。
確かに彼は少女のように愛らしい少年で、好き者の金持ちには引く手数多だろう容姿だった…。 まあそれでも最近では、彼も家に馴染んできていた。ショックからまだ言葉は話せないものの、彼は元気に弟妹と遊びつつも仕事も手伝ってくれている。
変態と言う名の金持ちに襲われたショックで山へ逃げ込み、こんな有様に………。(むしろどこの野性動物だという有様に…)
正直、弟や妹がいる僕にとってその年頃と同じような少年がこんな様子でいるのは見るに忍びなかった。
家も他人に施しが出来る程余裕がある訳ではないが、見捨てることなど出来る訳がない。必死で弟と2人餌付けをし、狭い我が家へと連れて帰った。
彼より大きな僕らには警戒をするものの、他の彼と同じくらいかそれより小さい弟妹には警戒を見せない彼に、「ああやっぱり…」とホロリと涙を零すしかなかった。
世間では神子が現れたやら掠われたやら失踪したやらと、とんでも事件が起こって国中が騒がしいようだが、僕の周りではこの程度の騒動しか起こっていない。
というか起こりようがない。
そんな訳で今日も僕は家族の為に働くばかり。今日も一日頑張るぞー