一度はやってみたかったネタシリーズ - 子供編10-

 

 

 

…まだ壁の向こうからは人の気配がしている…。

札での攻撃は、枚数に限りがある為一旦は止めていたが、子供は警戒だけは怠らなかった…。

 

『いいですか!男はオオカミ!気を付けなさい〜♪―――食べられる前に殺れ!ですからね!!』

『カナタッ!!(怒)』

『はうっ!!; えーそのつまり、危ないと思ったら、目一杯身を守る為に戦うんですよ?…容赦しちゃダメです!敵に情けは無用です!!』

 

「………」

こくり、と小さく自分に頷く。

…その教え通りに正しく実戦する子供は、…それでもやはり緊張していた。

何しろ、モンスターや獣相手ではなく、こんなに大勢の人間を相手に戦うのは初めての事だったのだ…。

――――そして、その緊張が正しい判断力を低下させているのだが、それはまだ子供にはわからない事…。

心臓のドキドキを押さえるように、きゅっ…と小さな手で札を握りしめながら、逸れてしまった自分の片割れを思う。

 

「はる…」

 

助けを求めている訳ではなく、2人いれば何とかなる、何でも出来るという安心感…。

探さなければ、見つけてもらわなければ…

何しろ、今までずっと一緒に過ごして来た相手であり、その存在がどれくらいの物なのかといえば、自分の身体の半分だとも言える程だ。

絶対に、再会し、2人で両親の元に戻る。

その為にも、自分の身を守ろうと子供は固く誓った。

――――そんな時、

 

「ムム〜〜〜!」

 

どこから戻って来たのか…先程一緒に遊んだムササビの姿を見て、子供は一瞬そちらに気をとられた。

 

 

 

 

 

ムクムクを窓から離して、子供の背後から飛んで行かせたカナタは、子供『る〜』の意識が外れたと判断した瞬間に、キラリ☆と目を光らせた。

そして、自分に似た子供に指示を出す。そして、自分も―――

「今です!!」

ドゴォッ!!…と、屋上への壁を無理矢理破壊した…。

…妙に素手っぽかったのは、気のせいだろうか?

まあ、何はともあれ…壊した壁は吹っ飛び、小さな遮蔽物となり、更に小さな物は目くらましの役目を担った。

「続いて煙幕ーーーーー!!」

カナタが続いて宣言した瞬間、ぼぅん!と煙が辺り一面を支配する。

しかし、子供も侮れず、その状況に慌てる事なくすぐさま反撃して来た―――が、辺りに満ちた煙と、出入り口の位 置が変わっていた事とで、炎の矢は上手くこちらを狙えずにいた。

煙の中飛び交う炎の矢は、元々の出入り口のあった場所へと殺到し、熱気が一面に満ちる…。

炎の矢が途切れたその隙を突き、『ハル』と呼ばれる子供はカナタの隣をすり抜けて、遮蔽物とその身の軽さを生かして『る〜』へと駆け寄ろうと走り出した。

 

そして、それを見つめていたカイルは―――

 

「……………」

 

…思った。

そう、

…これもかなりの力技ではないのだろうか…?本当に作戦と言えるのだろうか…?………と、

―――――まごう事なくそうである。

 

 

 

続く

久々に更新です。

終わりが見えたような見えないような…