強化恐怖強大合宿 〜1日目〜

 

何となく主力メンバー達が集まり、本当に他愛もない会話が交わされていただけだったのだが、そんなにも人数が集まっていたのが悪かったのかも知れない………。

 

「はっ!なんか今突然にして海に行きたくなりましたーーーーーーーッッッッ!!!!!」

「カナタ………」

「合宿決定です〜〜〜〜!!」

またもやカナタの突然の思いつきにカイルはどうコメントしていいものか分からず、悩んでしまう。もはや某忍者アニメの学園長並みの迷惑さだろう……。

が、主力メンバーが集まっているということはナナミがいるということで、ナナミがいるということはカナタの思いつきが増長するということで……

「あっ!カナタそれいいわね!!もちろんお姉ちゃんは参加よ!!ねっ、テンガアールちゃんも行くよね!」

連鎖反応を起こし、ナナミが他のメンバーをも巻き込む。

「もちろん!―――――ヒックスもだよ!」

「えっ?僕も?」

「ぼくと一緒に行くのに断らないよね!」

「うっうん…」

テンガアールに押し切られる形で、ヒックスは頷く、ここはコレが自然なのだろう……多分。

「よっしゃー!じゃあ他は今メンバーに入ってる人とその関係者は強制参加です!!――――ちなみフリックさんとビクトールさんは保護者として絶対来て下さい!」

「なにいっ!?オレもか!?」

「まあ、かまわねーけどな。」

「ハイ決定です!!」

「…………」

サクサクと決められてゆく中で、カイルはどうしようかと思っていたが、何かを思い付く前にカナタがこちらを振り向いた。

「カイルさんも行きますよね?来てくれますよね?僕と一緒にいてくれますよね?」

捨てられた子犬のような目で縋られ、カイルの返事は一つしかない。

「………うん。」

ぐいぐいと言葉と態度で押し切られてしまった………。

「わーーーい(=よっしゃーー)っっっ!!!!!」

「よかったわね!カナタ〜〜〜!!」

「ヒックス早く荷物まとめないと!」

「ま、まってよテンガアールっっ…」

騒がしい中、巻き込まれた人々は荷物を揃えにバタバタと駆けてゆく。何だかんだ言いつつもけっこう順応してきているメンバー達だった。

 

結局行くと決まったメンバー達は、カナタ、カイル、ナナミ、テンガアール、ヒックス、サスケ、フッチ、ルック、ビッキー、ワカバ、保護者のビクトール、フリック、そして保健の先生(?)としてホウアンとトウタだった。

 

 

 

「hえーーーーーーつかれ過ぎて気持ち悪いです〜〜。」

ビッキーのテレポートで来たのはいいが、よくわからない所をテレポートで転々と移動させられ、メンバー全員瀕死の状態だ……。

とっとと部屋に上がりこみ、バッタリと倒れる。

「くは〜〜〜もーーダメですーーーーーー……」

床に転がるまでは良かったが、廊下からバタバタと騒がしい音が近づいてきた……

「ねーーねーーカナタカナターー!!部屋の場所どこーーーーーーーッッ!!?」

「ナナミ〜…」

ナナミの登場だ、もうすでに復活したらしい。女の子は丈夫だ………。

倒れこんでいるカナタを掴むと、ガクガクと前後に揺する。一瞬本気で首がもげるかと思うカナタだった。

「ねーーねーーねーーー!!」

「にっ2階の大部屋ッッ………!」

「あっちねーーーーv」

ナナミはカナタを解放すると、パタパタと部屋から出てゆく。もはや姉弟の愛は失われた、(嘘)

この合宿場(?)は平家のような作りになっているようだ。磯の匂いが辺りに満ち、かなり合宿の雰囲気だろう。

ちなみにカイルはと言うと…

 

「フッチ!サスケ君もしっかりしてっ……!(汗)」

「だらしないね、まったく…」

瀕死状態の2人を引き摺ってカイルは必死だ、ルックはそれを冷たい目で見ているだけだ………

「はっ!カイルさん!!僕以外の人に触っちゃヤーです〜っっっ!!」

ベキイッ!

―――即行で復活してカナタは、無情にもサスケとフッチにトンファーの一撃を加えた。

「何すんだっ!」

「カイルさんに触るのが悪いッ!!」

「触ってねえっ!(怒)」

「……………(取り敢えず、ホウアン先生にフッチ預けよう…)」

ぎゃーぎゃーと騒ぐ2人に、ルックがきれる。

 

「―――『切り裂き』。」

 

 

「トウタ、『おくすり』いっぱい持ってきましたか?」

「はい!いーーーーっぱい持ってきました。」

「そうですか、」

早くも怪我人続出なメンバー達であった。

 

 

 

「わー、何か下騒がしいですねっ」

ひょこっと窓から顔を出したのは、額に凛々しくはちまきをつけたワカバだ。

何が起こっているのかはわからないのだろうが、とにかく感心している様子である。

「ナナミちゃん、この後の予定ってなになに?」

「んーとねー、」

ごそごそとポケットを探って、冊子を取り出す。その冊子には『旅先の心得 作カナタ』と書かれてあった。

いわゆる日程表だ。こんなものを作るとは、意外にマメな所がある。

「えーっと、まずは『到着後、各自部屋で荷物点検』だって、」

「ふんふん」

「それから〜〜『6時から夕飯』―――――あっ!大変っ!早く夕飯の支度しなきゃっっ!!」

ナナミが爆弾発言をする。その冊子の注意書きには『ナナミは厨房立ち入り禁止ねっ!』と書かれてあるのだが、ナナミは少しもそれに気付かない……まあ、書いた本人もそんな事くらいでは止まると思っていないのだろうが一応気休めだ。

「そうだね!ヒックスのためにも美味しいの作らないとね!」

「がんばるわよ〜〜!!ね、ワカバちゃん!ビッキーちゃん………あれ???」

ナナミがビッキーに声をかけるが、返事はない。それもそのはず、

「ビッキーさん、寝ちゃってますね、」

くーすかくーすかーと気持ち良さそうに眠っているのだから。部屋に入ってきた時のままの恰好で………

「ビッキーちゃん立ったまま寝ちゃダメーーーーー!!!」

 

 

 

「あああああああああああああああああああ!!!!!!」

「どうしたの?」

今までカイルに包帯を撒いてもらい、御満悦vな感じのカナタだったのだが、唐突に真っ青な顔で雄叫びをあげた。

「もうすぐ晩ご飯の時間なんですっッ!!」

「「「…………」」」

そんなことか……と冷たい目でカナタを見る美少年トリオだ。

「お腹すいたの?」

「いえっ!違うんです!!――そこなんか、目が冷たいっ!!そうじゃなくて!早く作らないとナナミが作る事になるかもしれないんですっッ!!」

ぎゃっとあまりの事に全員顔を青ざめた。

まさか、ここまできて食中毒は起こしたくない。

「取り敢えず手の空いてる人台所!!―――それとヒックスはナナミ達の足止め!!よろしくーーーーーー!!!!」

「え……ええええええええっ!?ぼくがですかっ!?」

カイルの手を掴み、ダバダバと部屋を飛び出すカナタに、ヒックスは断る暇さえ与えられなかった……。そして、サスケ、フッチ、ルック(はともかく)は足止め係にならなかった事を心から安堵し、後に続いていった。

「頼んだからな!!」

「僕はブライトのために生きないと―――…(汗)」

「まあ、がんばりなよ」

ルックは最後にのんびりと歩いて出てゆく………

「そっそんな……」

思わずへたり込んでしまったヒックスだ。

 

 

 

ヒックスは女の子達の部屋の前まできてはみたものの、どうやって足止めするかで頭を悩ませていた。

「どっどうしよう………」

うろうろとドアの前行ったり来たりしている内に、きゃわきゃわと騒がしい声が中から近づいてくる。

「ナナミちゃんスペシャル海の幸料理を作るわよーーー!!」

「あ、ヒックスさん」

「!」

びくっとヒックスの身体が跳ねる。ヒックス自身にはやましい事はないのだから、もう少し堂々としていてもよいだろうに。

「ヒックス???どうしたの、こんな所でうろうろして……。僕に何か用があるの?」

「あのっ……その…………っ」

たじたじとしながら、なんとか喋ろうとするヒックスだが、喋ろうとすればする程言葉は出てこない。

そのうちにテンガアールの顔はどんどん険しくなっている……………ちょうどヒックスの顔が赤くなるのと比例しているような形だ…。

「ヒックス!はっきりしなよ!!僕に用事があるの!?ないのっ!?」

ついに堪忍袋の緒がきれるテンガアール、ヒックスにおもいっきり怒声を浴びせる。

「いっあの…っ――〜〜〜特に………………」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっもう!そんな事だからいつまで立っても村に帰れないんだよ!!?わかってる!?」

「うっうん……(汗)」

「わかってないっ!!」

 

「ねっねえ!ワカバちゃん……喧嘩し始めちゃってるよっっ」

「大変ですね!どうしましょうっ!!」

 

ギャーーーギャーーと始まる痴話喧嘩に、ナナミとワカバも身動きが取れなくなってしまっている。

一応、足止め計画は成功したようだ………。

 

その頃の厨房はというと………

 

「お〜〜〜い。つまみに枝豆も作ってくれ〜〜〜〜〜〜〜」

ひょっこり顔を出したビクトールに、巨大豆がベシイッとぶつけられる。

「自分で茹でて下さいっッ!!―――――あああああっ!そこ!手裏剣つかうなーーーーーー!!さぼるなーーーーー!!!!」

 

すっかりパニックを起こしているカナタだった………。

ある意味、調理場は戦場だ。

 

 

「ぷぅ〜〜〜せっかくお料理しようと思ったのに〜〜〜〜」

「あ〜〜〜これおいしい〜〜〜〜〜」

ぷりぷり怒っているナナミだが、周りの半数は死にかけている状態だ。

「カナタ…、(生きてる?>汗)」

「カイルさ〜〜〜ん………せっせめてご飯をカイルさんの手で食べさせて下さいっ…………。」

 

そうして、ほとんど意識のないまま、夕飯を終えた………。

 

 

 

「取り敢えず寝ましょーーーーーー。明日も早いですーーーーーーーーーーー………。」

「おーーー…」

よろよろと全員が自分の布団に倒れこむ中、一つ布団が足りなかった。

「あれ…?」

カイルがきょとんとした表情になった。それに気付き、フッチがカイルに声をかける。

「どうしたんですか?」

「うん、布団が足りなく………」

「カイルさんカイルさん!!」

にこ〜〜〜と上機嫌にカナタが話の最中に割り込む、どうやらどんなに疲れていてもカイルが絡んでくると、全然平気なようだ。

「さあ!」

布団を捲り、『僕の布団にカモーーン!』なポーズを取る。どうみてもギャグだろうが、本人は至って本気なのだ。

「僕の布団にどうぞ!一緒に朝まで寝ましょう!!」

「なんでだよっ!」

ぽこーーーんと、空っぽの容器を叩いた時の音がカナタの頭から放たれる…………。

サスケのツッコミに青筋を浮かべつつも、カナタはにやりと笑う。

「そんなの普段毎日ずーっと一緒に寝てるからに決まってますよねーーーーーーーーー(↑)?」

「なっ…(///)」

「隙あり!!くらえーーーーーーーーーー!!『枕アトミックボンバー』!!!殴られた仕返しーーーーーっっ!!!」

なにやら、まくら合戦(まくら投げと言うかわいらしいレベルではない。)を始めた2人はフッチとヒックスを巻き込みつつ大混乱の渦を引き起こしていた。

 

「やれやれ、」

ルックは呆れ果てて、部屋の隅の方に移動する。

反対側には、すやすやとカイルが丸まってすでに眠っていた。

「……まったく。」

「すーー…すーーー……」

「どおりゃあああああああああ!!!!!」

 

 

この戦いは深夜まで(と言うか、全員がノックアウトされるまで)及んだらしい………………。

 

 

 

はあ、何だ全員ちゃんと寝てるじゃないか……(汗)←深夜の見回りに来たフリック

↑二日目に続く〜〜〜。