頑張れ源氏大作戦!!
〜クルガン氏の子育て奮闘記〜
それは極々一般的な朝だった。
しかし、そのあまりに信じがたい事件は突如として起こった…。
カーテンの隙間から毀れる日の光を受け、私はうっすらと目を開いた。
朝らしい。しかもまだ早い時刻だ。
隣からはすーすーと気持ち良さそうな寝息が聞こえている。
見ずとも私にはそれが誰だかわかっていた。
ここのところ、毎日のように床を共にしているシードだ。
昨夜も、彼の豹の様にしなやかな肢体を抱いた。何度も何度も。
彼が気を失うまで抱いた。
今朝も涙の跡がその頬に残ってしまっているだろう。
そんな事を思いながら、私はシードの寝顔を見ようと寝返りを打った。
「……………」
最初におかしいと思ったのは、布団の膨らみ。
潜っているのか、頭は見えなかった。
だが、それだけではなく、足元まで膨らみが無い。
まるで小動物のようだ。
まるで、というよりも、小動物そのものと言った方が正しいかもしれない。
比喩的な言い回しではなく、大きさが小動物そのものなのだ。
今までシードと床を共にして奴が私より先に起きた事は一度も無い。
いや、それ以前に私がシードが起きた事に気が付かない筈が無い。
自慢ではないが、私は気配には敏感だ。
もしシードが起きようものならば、動いた時点で気が付いている筈だ。
今までのことを引き合いに出し、考えを並べてみる。
しかし、いくら考えてみても答えは出ない。
兎に角、ここにシードがいない事だけは間違い無いらしい。
そう思うと小さく嘆息し、私は起きようと状態を起こした。
その時、小動物のような膨らみがもぞりと蠢いた…。