13日の金曜日
「13日の金曜日…13日の金曜日…ジェイソンが来るんです…チェインソーや斧を持ったジェイソンがベットの下に隠れてて、血祭りに上げようと待ち構えてるんですよ…!」
「…カナタ、何かと話が混ざってる気がするんだけど…;」
都市伝説っぽいものと混ざっているようだ。
というか、ぶつぶつと呟きながら、ジェイソンがジェイソンが…と紙に書き付けるカナタの姿はとても怖い。まさに鬼気迫る様子だ。
――それに何だか、妙に部屋が薄暗い。
「何でこんなに暗いの…?」
今日は曇り空なのかとカイルがいぶかしんだ所…
「…………………怖いものがこないようにと、敢えて城内をおどろおどろしいホラー仕様の内装にしたんですケドッ…余計怖いことになったとさっき気付いた所なんです!!もうどうしたらいいんでしょうねっ!?(涙目)」
「何してるのっ!;」
「ああっ!!;改装を急がせたせいで、元に戻してもらうのは体力的な面の問題で暫くかかるんですよーーッッ!!;」
「……………;(大丈夫、かな…?職人の皆さん…;)」
ぶんぶんと頭を振るカナタをよそに、カイルは巻き込まれた人々の心配をした。
「ううっ;そんな訳で怖さを和らげる為に、不幸の手紙形式でジェイソンの怖さを紙に綴っていたんです…ッ!投函しようと思うんでッカイルさん一緒に行きましょう!!1人で部屋に残るのも、1人で部屋を出るのも死亡フラグですッ!!」
「わかったから…;」
後、紙に書きすぎてるから…;と、箱詰めにされた呪詛のような手紙を見て、カイルは後ずさった。
――城内は、思う存分にホラーゲーム化していた。
…なんというか、元々の廃墟レベルに戻された訳ではないが、照明や壁の色が薄暗くなっていて、いかにもな仕上がりになっているのだ。(まさに巧みの技だ)
「ううっ!!;失敗しました!カンペキに失敗しましたっ!;木を隠すのは森の中なんて嘘っぱちです!!;逆にいつ出てきてもおかしくないという恐怖に襲われてます!!;」
「(何で最初からわからなかったの…;)…ゾンビの格好した人がいるんだけど…?;」
「エキストラの皆さんです!!」
「……………(汗)」
何故怖いのにそこまでするのか…(※怖いからそこまでする)、カイルには全く理解できなかった。
しかし、何も言わずにただ手を繋いでホールまで無事に辿り着いた。
「ふぅっ!;無事に着きましたねっ!;」
「そうだね…;」
遠くでは、ゾンビの格好や吸血鬼の格好をした人が愚痴を零し合い、ジェイソンの格好にまで扮装させられた人は別の場所へ行こうというのか、ノロノロと移動している。
…この状況が無事、というのが一番納得しがたい点だ。
(そういえば、手紙…どこに投函するんだろう…?;無差別に送るのなら止めないと…;)
はたと思い当たった疑問、―――しかし、カナタの行動は予測を遥かに超えていて止める暇もなかった。
「ビッキー!この手紙出来るだけランダムに飛ばして!過去現在の垣根を超え!時空を超えた出会い的にッッ!!」
「ええ〜っと??手紙をテレポートすればいいの??」
………。
「カナタっ!?;」
思考が停止している間に、ビッキーはそれっ!と手紙を飛ばした。
「人に迷惑かけることしないでっ…;」
「僕だけ怖かったら不公平じゃないですかッ!!(泣)皆に分けたらこの怖さも半減しますよッ!!」
「減らないからっ…;」
寧ろ広がるだけだろう。
しかし、既に消えてしまった手紙の山はどうすることもできない。
「ジェイソンの格好してもらった人もいるんだから、もうそんなに怖くないと思うんだけど…;」
「―――――――――――――――――え?僕ジェイソンのコスだけは禁止にしてますけど…?」
見たんですか…?
その問いかけに…カイルはうっかり目をそらしてしまった。
途端に上がる少年の絶叫…。
そして今日も眠れぬ1日が続くのだった…。